七つの死者の囁き/有栖川 有栖 石田 衣良 鈴木 光司 小路 幸也 吉来 駿作 道尾 秀介 恒川 光太郎/★★★☆☆

七つの死者の囁き (新潮文庫)
有栖川 有栖 石田 衣良 鈴木 光司 小路 幸也 吉来 駿作 道尾 秀介 恒川 光太郎
新潮社

7人の作家たちによる短編集。もっと怖い話なのかと思っていたら、そうでもなかった。不思議な話も含まれてる。

個人的には、恒川光太郎の「夕闇地蔵」が秀逸。地蔵助の特別な能力と、語り口の淡々さ、戦後すぐの田舎の描写などが相まって、幻想的で独特の雰囲気をまとっている。「同じものが他の人とは違って見える人」という設定が好きなのかも。恒川氏を初めて知ったのだけれど、他の作品も読んでみたいと思った。コンピレーションはこういうところがいいですね。

次点は道尾秀介の「流れ星のつくり方」。ただ、犯人が納戸に身を潜めていたとしても、あの男の子の目が見えないということに気付いたのだろうか? そこだけが疑問。

純粋に怖い話として怖かったのは、吉来駿作の「嘘をついた」。夜の森の首吊り死体写真とかものすげー怖いっつーの。子どもの頃、理科研究で夜の山の中に入って星を見たことがあるんだけど、その際に懐中電灯で木々を照らしたらなんかものすごく怖かったのを思い出した。