ホームタウン/小路 幸也/★★★★☆

そうとは知らずに読み進めたらどんどんハードボイルドになっていくので驚きました。えー!そっちかー!みたいな。失踪した妹とその恋人を探すうち、やたら風呂敷が広がっていくのでどこまで踏み込んで、どうやって収束させるのかなー、って思っていたんですが、まあ、何ともぬるい感じでまとめましたね。予定調和だよねー、という気持ち。

ともあれ、カクさんがかっこいい。一見普通のおじいちゃんなのに、多方面に顔が利いて謎の権力があって、あらゆる機器を駆使して特別任務をスピーディーにこなすスーパーおじいちゃん。あと、柾人は完璧すぎてちょっとあり得ないかな。いや、かっこいいけども。カクさんのかっこよさには到底かなわない。


冒頭からずっと繰り返されている、「おれたちは人殺しの子だ」というフレーズがどうしてもしっくりこなかった。その理由が明らかになってからも、えー、それって“人殺し”っていうのかなあ、いやいうんだろうけど、と、“すとん”とは納得できなかった。これに言及するたびに、「だからさー、それって、うーん」と萎えてしまう。この件がすんなりしてくれさえすれば、もっと楽しめたのにと思う。

あと本編にまったく関係ないところでパルプ町がちらっと出てきた。パルプ町って北海道にあるのか。小辞作品には必ずといっていいほどパルプ町が出てくる(そこが舞台のものもある)ので、「お」と思った。