水車館の殺人/綾辻 行人/★★★☆☆

華麗にして精緻。綾辻のトリックをそう表現する人は多く、私もまさしくその通りだと思う。けれども、この作品は『十角館の殺人』に比べるとかなりの物足りなさが残る。『十角館〜』が素晴らしすぎたのかもしれないが、あの衝撃はなかなか味わえるものではなかった。『水車館〜』はあんまり面白くない、と聞いていたこともあり、過剰に期待していなかったので、思っていたよりは楽しめたかもしれない。

幽囚の美少女、仮面の当主、外界から遮断されたからくり屋敷。あまりにも非現実的なこの設定は、小学生の頃に図書館で読んだ江戸川乱歩のシリーズを髣髴とさせた。トリックについてはある程度予想できたけど、とはいえまさか…という部分が大半で、やっぱりミステリはエンターテイメントとして面白いなあと思った。それにしても人死にすぎ。必要なパズルのピースであることはわかっているけども。

ところで、この館シリーズは計10冊になるそうですが、えーと、次は何だ? 『迷路館〜』かな? 解説にあった、最高傑作と呼ばれる『霧越邸〜』?とやらを読むのが楽しみです。何冊目だかも知らんけど。最近は退職して読書の時間が増えたので(他を放置してるとも言うが)、このペースでいけばわりとすぐたどり着けそうな気もしてます。