ありがと。―あのころの宝もの十二話/★★★☆☆

そういえば退院しました。3泊4日で済んでよかった。だいぶ回復しました。

さて、これもまたダヴィンチのシリーズ。こういうコンピレーション(?)ものは、自分の知らない作家を発掘するきっかけにもなるのでたまにはいいですね。
この短編集の中ではやっぱりダントツ加納朋子の「モノレールねこ」が良かった。まあ、想像はついたけど。


私がド田舎に住んでいた高校生の頃、通学に自転車→バス→電車を使っていたのだけど。ある日、バス停脇の駐輪場に停めておいた自転車のかごに

「子猫が産まれたのですが、名前が決まりません。何かいい名前はありませんか?」

という手書きの手紙が入っていたことがあった。もちろん差出人は不明だし、私に向かって書かれたものなのかもわからない。でも、なんか面白そうだったので、書かれている子猫の特徴からいくつか名前を考えて、翌日自転車のかごに入れておいた。そうしたら、数日後

「ありがとうございます! 子猫の名前は○○と△△に決めました。」

という返事が入っていて、それが自分の書いた候補の名前だったのでとても嬉しかった、という実話を思い出した。
見ず知らずの人と手紙をやりとりするあの感覚は、本当に不思議だけれど面白い。「モノレールねこ」でそれを思い出した。あの時手紙をやりとりした人は今どうしているんだろう。猫は元気だろうか。なんて思わず郷愁にふけってしまった。