死亡推定時刻/朔立木/★★★★★

最近の一番のヒット。書店で平積みされていたので、知らない作者だけどまあ読んでみるか、それにしてもベタなタイトルじゃなーと思って読み始めてみたら、と、止まらないー!! 久々に「すげー面白いミステリ読んだ!」という気持ちになった。

ある権力者の娘が他殺体で見つかり、容疑者として若い男が逮捕されるのだが、死亡推定時刻が鍵となり…という、まあこれといって特に目新しい筋書きでもないのだけれど、もうあの小林がバカでバカでなあ! あーもう! あーもう! とこちらがやきもきしているうちに一難去ってまた一難、気づけばガッツリ引き込まれている。<ネタバレ>ああ、冤罪ってこうやってできあがっていくんだな、というのがすごくわかったような気がする。

真犯人についてはほとんど言及されておらず、動機もなんか釈然としないのでここは疑問点が残るけれども。あと、小林があまりにもバカだったために結局死刑は免れても無期懲役になってしまったのが心残り。まあ、無期懲役ってのは服役中の態度によって早く出ることもできるらしいけど。</ネタバレ>あんだけ弁護士が頑張ったのに…! あーもう! あーもう!って終わるあたりもうまいのかもしれない。続編出してくれないかなー。

それにしても、フィクションなのにまるで現実の出来事であるかのような錯覚に陥るところが不思議。「ああ、そんな事件あったねー」的に記憶に残っている。この朔立木って人は、すごい作家だ。どうやらマルチな人らしく、この1作のみでほかには出していないようだけど、作家活動を早く再開してほしい。