神様からひと言/荻原 浩/★★★☆☆

カップラーメン製造メーカーに再就職するも上司と揉めてお客様相談室に配属された凉平。ここの業務はクレーム処理のみで、精神的に病んで辞めていく人が後を立たない。要はリストラ要員の収容所のようなもの。けれどもいい加減なようで実は謝罪のプロである篠原と出逢い、諸々の意地もあって凉平はクレーム処理のコツをつかみ、めきめきと謝罪の腕を上げるが…。

私は以前とある外資系の会社のコールセンターで電話受信業務に携わっていたことがあるので、設定におおいに興味を持った。とはいえ私の部署は問い合わせ電話が大半だったけれども、もちろん中にはクレームもたちの悪い嫌がらせもある。初めてひどいクレームに当たったときは、電話を切ったあと悔しくて涙が止まらなかった。なぜ人はこんなにも他人を罵倒できるのだろうと哀しかった。けれども私は上司に恵まれ、「うまくバランスを取れ(要約済)」というアドバイスのお陰で、その日を境に私はクレームの電話がイヤではなくなったんだよなー。と、そんなことを思い出しつつ読み終えたわけですけれども。

まあ、いつも通りの荻原浩という印象かなー。しいて言えばリンコとのエピソードが希薄な感じであまり感情移入できなかった。クライマックスは突拍子なさすぎるし。設定が面白いというほかはそれほど高評価できる要素はないかも。解説で別作品のことが書かれていたのでそれを読んでみたいと思った。というか荻原浩は設定のインパクトが強いという点がウリなのか。