DZ(ディーズィー)/小笠原 慧/★★★★☆

遺伝子操作が題材のミステリ。小笠原 慧は「サバイバー・ミッション」以来久しぶりだったけど、こっちの方が作品として手慣れた印象を受けた。全体のバランスが良くなってるというか。冒頭にめまぐるしく場面が変わってだんだん収束していく感じが個人的に好みっていうのもあるけど、海外ドラマっぽい引きの強さでぐんぐん読めるので、中断せざるを得ない状況(乗り換えとか)がもどかしかった。「志村、うしろーーーー」的ハラハラドキドキも随所に盛り込まれており、大変面白かったです。

ただね、最後の最後、アレだけはどうしても好みじゃない終わり方だったので、そういえば前作も終わり方が気に入らなかったんだったよなあ、と思い出しました。私としては<ネタバレ>涼子は最終的に水田とくっついてハッピーエンドになってもらいたかった。水田と子孫が残せないとしても。とはいえ妊娠しなかったら水田不妊治療を提案するだろうし、その時点で涼子染色体異常が発覚したとしたら、水田はそれを受け入れることが出来ただろうか。あるいはグエンとの子がお腹にいたとしても、それ込みで水田結婚するという選択肢は…やっぱりないかー。でもなー、結局グエンと涼子の子は順調にいけば世に生まれ出るわけで、となるとホモ・スーペリエンスとして成長するわけで、でも発ガンの確率がものすげー高いから淘汰されるかもしれなくて…。いやー、その後を想像したらもうきりがないんだけど。でもやっぱり私は。って堂々巡りになっちゃうなー。</ネタバレ>まあ納得しきれないけれども、ここを着地点にするしかないんだろうなあ。ううーん。