僕のなかの壊れていない部分/白石一文/★★☆☆☆

僕のなかの壊れていない部分ISBN:4334923631
ただひたすら傲慢な作品だと思わずにはいられません。
「なぜ人は生きるのか」「なぜ人は死ぬのか」「なぜ私は自殺しないのか?」
というような問いが随所に出てくるけれども、人は誰しもがそういったことを考えるし答えなどそう簡単に見つかるものではないし、それでも生きている人は生きているし死んでしまう人は死んでしまう。それを延々とこねくりまわして、結局は著者なりの結論に達していないというのがすごく気持ち悪い。きっと頭のとてもいい人なんでしょうけれども私には共感できない作品でした。
なんていうか、自分以外の人間をすごく軽蔑しているというか、ものすごく下に見ているというか、「おまえらはオレと違ってバカばっか」みたいな。女はみんなバカばっか、みたいな。そういう香りがプンプンする作品です。や、確かにバカですけど、そういうことを改めて言う人をみるのは嫌なもんですね。なんだろ。図星だから人を小馬鹿にしたような発言に過剰な反応してしまってるんですかね。私は。
とにかく、「どうせお前らには読んでもわかんねーよ」という放置で終わる感じが嫌です。そりゃ彼らみたいなトラウマを持った人間を理解することはきっとできないだろうし、わからないかもしれないけど、なんかわかりたいと思うじゃないですか。
確かに真理をつきつめるという行為は俗世間から離れていくものなのかもしれないけど、どうだろ。うーん。所々に出てくる宗教的なものの考え方とか、わかるところもあるにはあるんだけど。まぁ、説教くさいけど説得力がなくてやたらウザイってことすかね。