ひとごろし/明野照葉/★★★★☆

ひとごろしISBN:4758410283
明野照葉の作品はすごくまとまっているので、読んでいて安心感がある。気になる書きグセもないしなじみのない比喩もないし、キャラの書き分けが明確だし、とにかく物語に集中できるから他に読むものがないときは彼女の作品を選んでしまう。
女の狂気的な部分をクローズアップした、精神的にぐんぐん追いつめられる話。弓恵と妹の萌子、ふたりは対極にあるように見えるけれども、実はそのどちらも『愛』という真綿でじんわりと野本の首を絞めていく。かなり針は振り切っているとはいえ、世の中の女はそのどちらかに二分され得るのかもしれないし、どちらの要素も持ち合わせているものなのかもしれない。
納得がいかなかったのは、萌子が行方不明になっていた理由がわかったあたり。なんか無理矢理だ。
まぁ普通に読めたけど、でもこれはなんとなくバッドエンドがよかったなぁ。