チェルシー/桜井亜美/★★☆☆☆

チェルシーISBN:4062122480
読んでものすごく鬱になった。内容も確認せず借りた私が悪い。
集団自殺サイトで知り合った4人の男女が、富士のどこかで集団自殺をする話。
条件は「死にたい歴5年以上・交通費と宿泊代が払える人・雰囲気を乱さない人」。それさえあれば、ほかに理由はいらない。
そして彼らは「弱虫は弱虫なりの死に方」を決行する。レンタカーの車中で練炭を燃やして。

つい先日、学生時代の先輩を自殺で失った。誰にも気持ちをうち明けず、遺書すら残さずにこの世を去った。たったひとり、富士の近くで。
のこされた人たちは、私を含め、彼が死を選んだ理由をまったく知らないまま、ずっともやもやしたものを持ち続けていくしかない。真実は彼にしかわからないからだ。本当に彼をわかってあげることなんてきっと誰にもできないし、彼はそうするしかなかったんだと思う。誰にも、何も望まなかったから。

彼の訃報をきいて、16のとき、憧れていた先輩が自宅で首をくくっていたことを思い出した。私は、あまりのショックにお葬式に行くことも、お墓参りに行くこともできなかった。彼が亡くなる前日に、街で偶然ばったり会ったときの「お」って言うあの顔が、いまだに忘れられない。

『自ら死を選ぶことでしか、抜け出せない人たちがいるんです(ナイン・ソウルズ)』

そうかもしれないけど。でも。
彼らが絶望の淵に立っているとき、私に何かしてあげられることは本当になかったんだろうか、いや、あったとしても私は何かできたのだろうかと、どうしても考えてしまう。
心よりご冥福を祈ります。