風の歌を聴け/村上 春樹/★★☆☆☆

古い映画を観ているような気持ちで読んだ。私があまりにも『ノルウェイの森』を絶賛するものだから、夫がオススメしてくれた村上春樹の原点。展開が断片的だから映画のように感じたのかも。あとやっぱり情景がちゃんと脳裏に浮かぶ。これがデビュー作と考えると、すごいのかも!という気がしてきた。これを受けてフォロワーがたくさん出たのにもうなずける。

鼠って、『ノルウェイの森』のワタナベ君なのかも?と思ったり思わなかったり。若干エピソードが違うから、同一人物ではなくて似てるだけなのかもしれないけど。ただ残念なことに、"鼠"の文字を見るたびに"鼠先輩"が脳裏に浮かんでしまい、台無しになってしまった。時期が悪かった…。これだけが心残り。鼠先輩を忘れた頃に再読したい。

若くして自ら命を絶つエピソードがあり、心を病んだ人がいて、常に死の喪失感が作品全体に漂っている。これが春樹作品の特徴なのか。春樹信者はこういうところにシンパシー感じるんだろうな。時代性にもマッチしてただろうし。

自分の親世代が送った青春時代がテーマなので古くさい。だがそれがいい。音楽も時代を反映していて。随所に出てくる音楽を知っていれば、もっと映画のように楽しめたのかもしれない。