悲しみよこんにちは/フランソワーズ サガン著、朝吹 登水子訳/★★☆☆☆

悲しみよこんにちは
フランソワーズ サガン 朝吹 登水子 Francoise Sagan
新潮社 (1955/06)

セシルは早くに母を亡くした。女たらしの父レエモンと、父の若い愛人エルザとの3人で楽しく別荘でのひと夏を過ごすうち、父は母の友人であるアンヌを別荘に招待し、たった一夜でアンヌとの結婚を決めてしまう。セシルはアンヌへの反抗心から、エルザと海辺で出会ったシリル青年をダシに使い二人の結婚を邪魔しようとするが…。

うーん。ページ数は少ないのだけど、読了するのがきつかった。夫が父親の本棚から譲り受けたのを借りて読んだのだけど、1958年に再版されたというとても古い本のせいか、文章そのものがとても古めかしい。それとあまりに直訳すぎて、言いたいことはニュアンスでわかるけど…そんな表現て…と思ってしまう部分、それと文化やモラルの違いなどが邪魔して、まったくもって物語が自分の中に入ってこなかった。元から翻訳モノが苦手というのもあるけど。

セシルの、若さゆえの飄々とした自堕落さみたいなものは何となくわかる。でも、私が歳をとったせいで、そういったものに対し眉をひそめる側になってしまった。たぶん、10代の後半とかに読んでたら全然違っていただろうなー。サガン様すてき…!みたいになってたかもしれない。

それと、私は子供の頃から自分の父親との関係がうまくないので、父性というものが実感できない。レエモンとセシルの関係が一般的なあり方と比較したら理想的なんだろうな、ぐらいのことはわかるけれども、でも私はそれを「キモイ」と思ってしまうので、結局この物語の印象自体も悪い。梅宮辰夫とアンナの関係*1に近いキモさ。
とにかく、物語の中の設定を自分とはまったく別のものとして切り離して俯瞰することができないんだろうな。たぶんこういうところ損してる。

*1:アンナが高校生になるまでパパとお風呂に入っていたとか(まあそれも極端な例だけど)