ZOO/★★★★☆

乙一の「ZOO〈1〉」が映画化されたんですって。小説を読んだときの感想(こちら)を読む限り、当時の印象としては全然パッとしなかったんだけど、時間が経つにつれ私の中の乙一の物語は熟成されていたみたい。
「カザリとヨーコ」、「SEVEN ROOMS」、「SO-far そ・ふぁー」、「陽だまりの詩」、「ZOO」の5編。ショートムービー集みたいなものなので、物語がだれることなく、エッセンスがちゃんと抽出されてる感じがした。あっさりしていて潔い。どれもよくできてるけど、やっぱり際立ったのは「SEVEN ROOMS」だなあ。物語そのものが持つ存在感が大きすぎる。気付いたら手に汗握ってた。まじで怖い。これと「SO-far そ・ふぁー」、どちらも子役がいい芝居をしてるおかげで全体がグッと締まっている。
どれも必ずどこかに哀しい部分が残る半バッドエンドだけど、型どおりのハッピーエンドよりもこっちの方が好きかも。本当ならば★5つつけたいのだけれど、残念ながら表題作の「ZOO」の出来がサッパリだったのでひどく落胆した。そのせいで★4というのが痛い。他の4編は覚えてたけど「ZOO」だけは原作がどうだったか思い出せない。ってことは、やっぱり印象の薄い作品だったってことなんだろか。
何にせよ、この映画とても面白いのでオススメです。「ZOO」以外。(しつこい)