鉄コン筋クリート/★★★★★

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そういえば観ました。
普段めったに「映画観に行きたい」などとは言わない恋人が自発的に口に出すなんて余程のことなので、じゃあ観ようぜひ観ようと、お正月休みに朝イチで観に行きました。近場の映画館には観客が30人くらいしかいなくて快適でした。9割方が大きなお友だちでした。ダヨネー。

私は原作を未読なので映画を観る前に読む気マンマンだったのだけど、彼曰く「原作を読まずして観た者の感想を聞きたい」というので情報をビタイチ入れずに挑みました。


結論から言うと、最高に素晴らしかったと思います。

観始めて数分で、何もわかんないなりに「ちょ、ちょっと待て。いま私はなんだかものすごいものを観ている!」という感覚がどくどく湧いてきた。1秒たりとも見逃してはいけないような気がして、スクリーンに釘付けになった。

シロとクロの、二人だけの世界とルール。それがすべて。セカイ系はすごく映像表現が難しいし、製作サイドのひとりよがりになりがち。どんだけ多くの共通言語で伝えられるかが重要だと思う。そういう意味では何度も映像化を試み、ポシャッてきただけあって、パーフェクトに近かったんじゃないだろうか。私は原作を知らないけれどこの映画は素晴らしいと感じたし、原作を読んでいる恋人も完璧だと言った。ということは、多少設定が変わっていたとしても、原作のイメージを壊さずに映像化した成功例なんだろうと思う。私は原作至上主義の傾向があるけれど、もし先に原作を読んでいたとしてもおそらく同様に素晴らしいと感じたのではないかと思う。

それと、私はクロ(二宮和也)とシロ(蒼井優)の声優がとても印象的だった。あ、でもシロは若干クレヨンしんちゃんっぽかったかも。その他の声優については後から「えー、ヘビはモックンだったの? クドカンなんて出てたのかー」って思いました。残念ながら彼らの声の印象はあんまなかった。

映画を作った人たちのすべての足並みが揃っていて、同じ方向を向いている、と感じられる映画だった。実際はそうでなかったかもしれないけれど、これを取りまとめた人がすごいんだろうなあ、そしてその原作を作った松本大洋はすげえんだなあ、と改めて思ったのでした。

あ、あと予想外にヤクザのベタなシーンで号泣してしまいました。