ハチミツとクローバー/★★★☆☆

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ハチクロのコミックスは以前3〜4巻くらい読んで放置したまま。で、せっかく原作が目の前にあるというのに、読まずして映画に臨んでしまったのは不本意です。不本意なんですが。幸か不幸かそのおかげで、私は今回の映画を「原作読んでない人」の視点で違和感なく観ることができてしまいました。ごめんなさい。同行した人たちは「あれはナシだなー…」と言っていたので、ナシなんでしょう。私はこれから原作を頭から読むつもりですので、数日後には手のひら返したように「映画はひどい」とか言い出すと思うんであんま参考にしないでください。

実は、私にとってこの作品が原作に忠実かどうかはあまり重要ではなくて(というか原作を新刊まで読んでないから必然だが)、原作のストーリーやキャラの再現性以外の、美大という舞台そのものや、それぞれのアートに対する姿勢や、そういう別の要素に気持ちが引っ張られノスタルジーに浸ってしまったせいで、もしかしたら「懐かしい=いい」と勘違いしてるのかもしれない。<自分語り>たとえば自分が通っていた美術の予備校、大学の美術専攻、そこで出会った人々、画材のひとつひとつ、校舎、将来のこと、特異性、才能至上主義と憧憬と後悔と劣等感と挫折と矛盾。(中略)そういった記憶や意識が怒涛のように押し寄せてきて、危うく溺れそうになりました。ああ、この感じ昔に味わったことがあるなあ、という苦しくて懐かしい記憶。これは音楽の仕事してるときにも感じてたことで、わりとなじみのある感情の記憶だから、余計苦しいのかも。

だから個人的には恋愛要素に対する期待は二の次で、誰の恋がどうなるかよりも、はぐがスランプをどう乗り越えるか、森田が自分の中に沸きあがる矛盾とどう対峙するのか、という方に注目してた。エピソードがかいつままれてて原作読んでる人たちは気持ち悪いーって思ったであろう箇所もそれほど気にならなかったし。ってことは、やっぱりこれ「ハチクロ」というコミックスの映画化としては失敗だったのかもしれない。だってあれ、恋愛マンガでしょ? 恋愛要素に興味もてないハチクロなんて、ハチクロじゃあ、ないよなあ。