ランドリー/森 淳一/★★★★☆

映画を観たのは4〜5年前だと思う。テル=窪塚洋介以外、水絵もサリーも役者が誰だったか思い出せない。ストーリーも忘れていて、でも読み出したらぐんぐん記憶がよみがえってきて、映画のシーンが映像で浮かび上がってきた*1。あとはそれをなぞっていくだけだった。
驚いたのは、映画と小説とのギャップが皆無だった(と感じた)こと。あとがきを読む限りでは、原案があって映画→原案を小説化の順で作られてるんだからギャップが少なくて当然なのだけど。とはいえ多少のずれやイメージの違いが当然あると思ってた*2から、監督と脚本を書いた本人=著者ってのは大きいんだろな。まあ、観たのはだいぶ前だから、忘れていた映画の細部が小説によって補完され、勝手に「同じだ!」と記憶が上書きされただけなのかもしれないけど。

さて、テル以外のキャストをすっかり忘れていたおかげで、先入観を持つことなく、逆にリアルに物語を追うことができたように思う。というかむしろ、前に観たときはそれ程この映画に思い入れはなかったのだけど、なんか今読んだらやたら染み込んできた。きっと、今の私があのときから4つないし5つ歳を取ったせいだ。あの頃と今では何もかもが違いすぎるし、ある意味水絵に感情移入するのに十分な環境が揃っている。テルの存在に救われ、自分の存在価値を見出す水絵と、ピュアすぎるテル、サリーの生き様。今の自分を、無条件にまっすぐに受け入れてくれる存在は大きい。まあ、欲をいうならサリーのエピソードをもう少しだけ掘り下げて読みたかったかな。

この感想を書くために映画のキャストをぐぐったら水絵は小雪でサリーは内藤剛志なんだけど、私の脳内では水絵は井川遥、サリーは江守徹のイメージで進んでました。まあ、それはそれでアリ?

*1:キャストの顔以外

*2:それがイヤでノベライズやコミカライズが個人的に嫌い