011: 陽気なギャングが地球を回す/伊坂幸太郎/★★★★☆

映画化されるっていうんで、公開に間に合わせて読了。私の初の伊坂作品は『チルドレン』で、それ以来彼の作風にハマったはずなのに、そういや伊坂コンプしてない。そもそも、こういうきっかけでもない限り読まないなんて、それで伊坂好きーなんて言っちゃいかんですね。これからはちゃんと追いかけよう。反省した。文庫落ちとか待ってる場合じゃない。

さて、4人組の銀行強盗が、それぞれ特化した能力を活かしてスマートかつスタイリッシュに銀行を襲うお話なのですけれども。私たち読者は(というか私は)、明らかに“犯罪”とわかっていることなのに、彼らがスマートに犯行におよぶ姿を眺めることが好きだ。むしろ彼らに対し、憧れのようなものを抱いている。そういう層があるから、こういう類の映画や小説が存在するんだろうけど。
綿密に立てた計画を、大胆に、楽しそうに、そして寸分の狂いもなくこなしていく様は、なんというか、実に爽快で気持ちがいい。裏をかいて、出し抜いて、どんでん返しがどかーんとやってくるのも、あすこで張ってた伏線はこのためかーーー!!!っていうのが明かされる瞬間も、ラストも、That's エンターテイメント!という感じで痛快。とはいえ、100%褒めちぎるにはちょっと無理のある部分もちらほら。せっかくのエピソードが活かしきれてないように感じるところもあった。
あと、私は伊坂の描くラストシーンが相変わらず好きだ。

映画は今のところ観るつもりでいて、キャスティングがまた興味をそそるラインナップなのだけれど、私なりに持っているこの作品のイメージを改変せずにそっとしておきたいという気持ちもあるし、それ以上に素晴らしいものになっているかもしれないし、そう考えると観たいのだけれど観たくないというか、怖いというか。まあ、観ます。