この世の外へ クラブ進駐軍/★★☆☆☆

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知り合いから「ちょう泣ける」と聞いていたのですが、そうでもないです。っていうか泣ける映画ではないです。

戦後日本が復興していく中、米軍基地のクラブでジャズを演奏する若者たちの話。私はもっとジャズに惚れ込んだ男の子たちがぐいぐい素敵なプレイを見せつけてくれて、くうぅ〜ジャズ!って思わせてもらえるもんだと思い込んでいたので、期待しすぎだったという感じ。エンターテイメント性を追求する映画ではないです。そういうのを求めるならアメリカのニューオリンズが舞台の映画を観ればいいのかもしれません。

音楽はたまたま手段にしか過ぎなくて、これは当時の日本を覗き見るという映画だと思います。人々の暮らしぶりがたぶん詳細に再現されていて、そういう点ではすごいです。私の母親は終戦の翌年に生まれたので、うわーこういう中で育ったのかーって思ったりした。でもやっぱり私は戦争を知らないし、その受け止め方を知らないんだなあ。ラストで出てくる数字にはやっぱりへこむのだけれど、どうしたって手に取るように実感はできない。

私は学生時代にブロードウェイミュージカルを英語で上演する部活に入っていて、4年間座間キャンプのシアターで公演をうっていたのですが、コヤ付きのアメリカ人のおっちゃんやスタッフのみんな、お客さん(キャンプ内で暮らしているアメリカの人たち)、基地の中などを思い出して懐かしくなりました。中の人たちからしてみれば、私たちもあんな風に見えていたのかなあ。変な日本人だったんだろうな。湾岸戦争イラクの攻撃が始まったときの、基地の中の人たちの緊迫した雰囲気を思うと、やっぱり戦争はいろんなものを変えてしまうんだなあと思いました。

私はオダギリジョーが好きなのですが、彼はこの役にはまってないような気がするなー。むしろやるなら萩原聖人の役の方が合ってるのかも。というよりも、登場人物すべてに感情移入ができなかったのはどうしてだろう。どの人も嫌いじゃない代わりに、どの人にも好感が持てなかった。なんか、この映画全体が遠いところにあるなあと、目の前のモニタを見つめながら漠然と思ったのです。