四日間の奇蹟/浅倉 卓弥/★★☆☆☆

四日間の奇蹟ISBN:4796638431
第1回このミス大賞金賞だそうで、思わず書店に平積みされていたのを手にとって買ってしまいました。時間つぶしのためだけに買ったにしても、ちょっと浅はかすぎたなと反省しています。こういううっかり購入はよくない。でもまぁ設定がかなり気になるものだったので、それだけが買う決め手になっていた。
ある事件に巻きこまれたことにより、脳に障害をもったサヴァン症の少女と、指を失ったピアニストが山奥の施設で体験する奇跡の四日間。
ミステリーというよりはオカルトっぽいファンタジーという印象。なんというか、私はあまり入っていけない感じだったなぁ。全体に漂うキザな雰囲気の言い回しと、中盤からの思いもよらないSF展開に「ハァ?」ってなってしまった。何よりも、私は真理子が好きになれないタイプの女だったので読んでいてイライラするし。必要以上に喋りすぎる女は嫌い。「大いなるもの」とやらの存在も、ちょっと電波っぽい表現だし素直に受け入れられなかった。
なんか一部ではすごく賞賛されているようだけど、私には合わないのかもしれない。
小説を書く人に対して「文章がうまい」という褒め言葉はあまり頭のよい発言ではないと思うけど。プロの調理師に「料理うまいですよねー」って言うことが愚かであるように。小説家は文章が、調理師は料理がうまくてあたりまえ。デフォルトの要素を褒めても意味がない。どんな食材をどのように調理してテーブルにサーブするか、それを食べた客がどう感じるかが大事だと思うんだけど。平気で「文章がうまい」と評価する人たちの評価を、私は素直に聞き入れたくありません。
私は、この作品全体になんともいえない違和感を感じているまま結末を迎えてしまったので、感想もそう言わざるを得ない。はっきり言って、泣けませんでした。まぁこれはあくまでも好みの問題だから、好きな人は好きかもしれません。
ただひとつだけ納得がいかないのは、私のうっかり買いのような愚行が日本中で起こっているのか、それとも私がおかしいのかどうかはわかりませんが、この本は予想以上に売れているようで、近々映画化するということです。『世界の中心で愛を叫ぶ』もまったくもって心の琴線に響かなかった私ですから、『四日間の奇蹟』は大ヒット間違いないね!