トリツカレ男/いしいしんじ/★★★★☆

トリツカレ男ISBN:4939029166
いろんな事に病的なほどにとりつかれた男ジョゼッペが、ある日外国からきた風船売りのペチカにとりつかれて恋をする。今までジョゼッペがとりつかれてきたことたちをうまく利用して、言葉をはなすハツカネズミと共に、彼女の笑顔のむこうに隠れている暗い部分を取り除こうと必死になる。
なんだろう。やっぱりいしいしんじはすげぇな、と思わされる。独特の世界観のつくりかた、あれがいしい節なんだろうけど、たぶん全然知らない国の全然知らない街で起こっている物語なのに、ありありと情景が目に浮かぶ。ロベルト・ベニーニの映画をジュネ&キャロの映画と足して2で割ったみたいなイメージ。
最後の1行を読んで、それが不覚にもじーんと心にしみてしまって、泣きそうになった。いいなぁそういうの。って純粋に思う。歳なんだろうなぁ。
久しぶりにロベルト・ベニーニの映画見ようかな。