ベトナムぐるぐる。/k.m.p./★★★★☆

ベトナムぐるぐる。 (角川文庫) 詳細を見る

ベトナムの良くないところ、いやむしろすごく悪い部分にポイントが当たってる旅行記
文化の違い、衛生管理の悪さ、いやな奴ら。今までに読んできたベトナムのガイドブックには載っていなかった、本当に生のベトナムが書かれていると思う。私が想像していたベトナムとはおよそかけ離れたことがたくさんあって、すごくびっくりしたし怖くなったしちょっと失望したことも確か。でもやっぱりベトナムに行きたいという気持ちが変わらないのはなぜだろう。
きっと、すごくリアルな書き手の気持ちが伝わってきたからかなあ。数週間単位で海外に滞在していたら、いやなこともたくさんあるだろうし同行した人とも喧嘩をしたり険悪になったり体調を壊して数日無駄にしたり、現地の人に騙されたりスリにお金を盗まれたり道に迷ったりボられたりするだろう。そのときは本当に本当につらいし苦しいしむかついて哀しくて日本に帰りたいって思うだろう。でもそういう嫌なことも全部ひっくるめて「旅行」のネタとして楽しめればいいんだよね。
ガイドブックってたいがいその国の理想的な部分だけが書かれている(危機管理の項目はあるとはいえ)ことが多いけど、実際の海外旅行は楽しいことだけじゃないから、それが正直に書かれてることに親近感がわくのかもしれない。すごく人間っぽいというか。怒りは怒りにまかせて書きなぐってあるし、変に読者に媚びてないし、とにかくベトナムに対して今まで抱いていたものとはまったく別の、強烈な印象が残った。ちょっと予想外の展開すぎてびっくりだけど、いやそれにしてもすっげー国やな…。
そして逆に助かったかな。ベトナムはもう最悪な国やで! でもいい所はいいで! っていうスタンスでいれば、期待に胸膨らませすぎて乗り込んだ瞬間にそれが打ち砕かれたことによってものすごく失望したりしないで済む。心の準備ができたという意味ではアリ。
あー、やっぱ20歳くらいのときに一度なーんも考えずにぽーんって行っておくべきだった国のような気がする。まあこれからでも行くけど。