死に花/★★★★★

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なんだこのジイさんたちはーーー!!! バカかーーーー!!!! 大好きだ。大好きだよもう。

高級老人ホームで余生を過ごす菊島(山崎努)たちに託された1冊のノートには、綿密に練られた銀行の金庫破り計画が詳細に記されていた。死ぬ前にいっちょ花咲かせとくか! っていうバカみたいなノリで、ジイさんたちはそれを実行に移す。最高のエンターテイメント。

もうね、とにかく痛快。だって、ジイさんが寄ってたかって金庫破りですよ?

序盤で

ジイさんが一人死んじゃった時点でMAXに泣けるわけですよ。俺の葬式は俺がプロデュース! 俺の好きなようにやるから、みんな楽しめー!っていうスタンスと、あのジャズの歌が本当に素敵で、しかも大好きな女と一緒に逝っちゃって、なんつうか、こいつやりやがったな!

って思わされる。

あとはもうひたすらビール飲んでは穴を掘り続けるだけなんだけど、それがもう気持ちいいっていうか。男っていうのはいくつになってもこういうバカでいてほしい。そして私はこいつらバカだーーー!って笑っていたい。金はありあまってるから、ものすごい豪勢な準備をしていくシーンは圧巻だし、ホームレスがまたいい味を出しているんです。憎いね。

「三途の川渡ってる場合じゃないだろー!」

うん、これ名言。

かわいいジイさんたちを大量に使っているあたりでもう完全にずるいんだけど(老人ネタに弱いです)、和子がまたいい。
「なんだこの年寄りおもしれーーーー!!!」
って叫ぶシーンは、全くシンクロしてたよ。サイコーだよあんたたち。

でも、菊島が

靴のひもを結べなくなったり、数を数えられなくなっていく姿はやっぱりどうしてもへこみます。切なさすぎる。ああ、ついに来ちゃったか…って、誰もが覚悟してる瞬間が来る。「老い」が。雨の中「すいませんでしたー!」って叫ぶシーンは、もうなんていうか、見てらんなかった。

それにしても、犬童一心はすごい監督だなあ。ちゃんとニヤリってしながら映画撮ってる。自分の感覚をものすごく信じてて、それを直球で投げてくる人だ。この人の映画は追いかけてみたい気がします。

はー。久々にいい映画観た。娯楽としてとても楽しめます。