夏至/★★★★☆

夏至 特別版 [DVD] 詳細を見る


ベトナムのある三姉妹の日常を描いた映画。
テーマは「流」なのかな。随所に出てくる水の存在と、ゆるゆると流れてゆく時とがシンクしていて、とても心地いい。なんだろう、ちゃんとそこに音は存在してるのに、喧騒とか水の音とか雨の音が確かにそこにあるのに、全体から伝わってくるのは、静かであるということ。音があるからこそ静寂を、静寂があるからこそ音を意識するというか。アカペラで歌う歌にも同じことが言える。うーんうまく言えない。もう、そのたたずまいが好き、としか。

この監督は「青いパパイヤの香り」の人でもあり、私はずっと気になったまま観ずにいたわけなのだけど、「夏至」を最初に観て良かったのかもしれない。トラン・アン・ユンはベトナム人よりベトナムのよさをわかってるんじゃないか、みたいな。金魚屋さんの風景とか、何気ない朝ごはんとか。たぶん実際のベトナムにはもっといろんな要素が含まれているし、「夏至」はそこからうわずみを一部分切り取ったにすぎないのかもしれないけれど。


あと、朝を迎えたときのダウナー系の音楽がすごい好き。もうなんかこれにつきる気もする。



すぐ近くのタイとかラオスとかカンボジアも嫌いではないんだけど、インドほど特化した何かがあるわけでもないんだけど、私はベトナムが好きなんだよなあ。まあベトナムに行ったことがないどころか海外にもほとんど行ったことがないので、あくまでもイメージの世界なんですけれども。暑くてけだるくて、昼寝して、お茶飲んで歌って海、みたいな。沖縄ともまた一味違うんだよなあ。って、沖縄も行ったことありませんでした。

とにかく、なにかがすうっと入ってくるこの感じが好きなのです。他愛もない日常に、楽園を見出す瞬間がある。私がベトナムを好きだなあと思う気持ちはやっぱり変わらない。いつか私が姿を消したらたぶんベトナムにいると思います。

そうだ、ハス茶飲みに行こう。