約三十の嘘/★★★☆☆

6人の詐欺師が大金をめぐって長距離列車の中で織りなす、騙し合いと探り合いと裏切りと、恋愛ドラマ。
今回はタイトルと設定に惹かれたというのもあるけれど、やっしゃんの出ている映画を観てみたかったというのが正直なところ。彼は、私が大学生の頃に音響の手伝いをしていたカムカムミニキーナという劇団の看板俳優で、実際彼の存在は当時からとても光っていたし人気もあった。事務所契約をしてからはぐんとTVの仕事が増え、私も大学を卒業してから別の道に進んだのでまったく関わることがなくなったけれど、あんなに有名になるとはね。なんかずーっと遠くへ行ってしまった感じがする。『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに彼が出たときは感無量だった。もうちょっと仲良くしとくんだったなー。次に私を呼んでくれるくらいに。

この映画で一番良かったのは、しいて言うなら佐々木(妻夫木聡)かなー。単に好みだっていうだけの話かもしれないけど。顔が。正直、志方(椎名桔平)の過去のカリスマ性や人間としての魅力が描ききれていなかったので、宝田(中谷美紀)がなぜそこまで志方に惹かれるのか、ちょっと理解できなかった。あの流れでは、佐々木を応援したくなってしまうのも無理ないと思う。物語が進むうち、


3年前の三角関係のゴタゴタが垣間見えて来るんだけど、あーこの人は彼女のことがまだすげー好きなんだなっていう。あの時の一度きりの過ちがずーっと尾を引いていて、彼女に対する恋心が一途で切なくて、はたから見ててすごくいとおしいというか。でも結局宝田は志方とヨリを戻してしまうわけで。叶わなかった恋への完敗っぷりとか、金が手に入ったとはいえこれっぽっちも心が満たされていないことに気付いてヤケになるところとか、
もう彼を抱きしめてあげたいくらいでした。キモイですか、すいません。でも感想くらいは自由に書かせてください。どうせ妄想ですから。

極論ですが、世の中は金です。何だって金がモノをいう世の中です。ないよりはあったほうがいいに決まってる。でも。金と異性、金と人。金と何かを天秤にかけたとき、金以外の何かに価値を見出すことのできる人たちを私は素敵だなーと思う。理想論だと思うけど。お金がなくても愛があれば!あなたさえいれば!なんて、現実離れしてると思うけど。


結局最後にお金を選ばなかった二流の詐欺師たちに、なんとなく好感をもってしまう。や、詐欺師ってところで根本から間違えてるんだけどね。でも今井だって、本当は金じゃない何かを求めていたはず。
あーもうだから私は男に騙さr(ry

一番衝撃的だったのは、なんといっても


やっしゃんのキスシーンです!あわわわわ!リアルで知ってる人のキスシーンは、たとえ芝居でもちょっとドキドキしちゃいますね。なんかやたらと生々しい感じがしますね。

総合的に見て、騙し騙されるミステリーな部分は、ことごとく簡単にわかってしまうので、エンターテイメントとしてはあっけなくて物足りない。


宝田のポケットから鍵が出てきたときが最高潮だった。それ以降はなんかぐだぐだな感じ。
あとは、クレイジーケンバンドが思いのほかいい味を出してました。それくらいだなー。
うーん、これは劇場で観なくても、DVDでもいいんじゃないかしら。