僕の彼女を紹介します/★★★★☆

母がどうしても一人で実家で年末を迎えたくないと言うので、近場で申し訳ないと思いつつも母を東京に呼び寄せておいしいものをたくさん食べて映画を観てラクーアで1年間のいろんなものをほぐされてきました。1年の締めにはとてもいい1日だったと思います。大雪さえ降らなければもっとよかったです。
そんなわけで大晦日の首都圏はことごとく人出がなく、映画館にもほとんど人がおらず、とても快適に街を歩いたり映画にやたらと感情移入したりしました。

さて『僕の彼女を紹介します』。前作の『猟奇的な彼女』がとても素敵な映画だったので、もし期待しすぎて外れたらやだなーと思いながら観たのですが、まったくそんなことはなく、良かったですよ。私はとにかく泣きはらしました。母娘して号泣しました。映画館にいた人が少なくて本当によかった。

かなり破天荒だけど可愛い女の子に翻弄される男の子の図、は『猟奇的な彼女』でとてもいいということがわかったし、実際私もキョヌに恋をした。最悪の出会いから発展する恋というのはインパクトがあるし、なんかドラマチック。


今回も似たようなシチュエーションがいろいろ出てくるけど、これはこれでこの映画シリーズの特徴なんだと思うようにした。授業中に第三者が乗り込んでいって何か渡すとか、懐かしいもの(『猟奇的な彼女』の時はタイムカプセル、今回はパラパラマンガ)がキーワードになってるところとか。ジョン・ウー映画に白い鳩と二丁拳銃が出てくるようなものかな。ちょっと違うかな。

最初のシーンはものすごく衝撃的で、あとはバタバタと物語が進行していって、さてどうなるのか…!と思ったら

「え?『ゴースト』?」っていうめちゃめちゃファンタジー展開
だったわけですけれども。
でも、不覚にも泣いてしまったわけです。なんつうか、あぁそれで!ってアレとアレが繋がった瞬間、もうX-JAPANだろうが何だろうが、pgrとか言ってられないんですよ。だって涙がこみ上げてきてしまうのですもの!少しぐらい不自然だろうと違和感だろうと関係ない。ベタでもいい。私は泣きたいときに泣くんだーーー。

で、今からものすごいネタバレするんで反転する人は本当によく考えてから反転してください。私は責任負いませんよ。


主人公死ぬとかもうありえない!彼女が自分のせいだと思い込んで後追い自殺とかありえないからー!しかも理想的な後追い自殺の方法で助かっちゃって死ねないとか哀しすぎる。「死なせてー!」ってなる気持ちは痛いほどわかる(ような気持ちになれる)からなおさら泣ける。
ゴーストでは微塵も泣けなかったけど、
「僕は死んだらまた風になりたい」
というミョンウが風になって帰ってきたーーーって思ったらなんかすごく泣けてきちゃったんですよ。

チョン・ジヒョンの魂の叫び系の演技がまた涙をそそるんです。あれはマジですごい。


必死に心臓マッサージするんだけど、パニクってグダグダになっちゃうところとか、無線で応援を要請するところのキレ具合とか、きっと自分がその立場になったら冷静になんてなれなくてものすごく気が動転しちゃうだろうな、っていうリアリティがすごく感じられる。警察官だって人の子だからね。ほかはもうほとんどありえないシチュエーションばかりなんですけれども。

それと、この監督が本筋として持ってる『運命論』みたいなものはもしかしたら文化の影響かもしれないけど、憧れますね。もちろんいい意味で。心の半分では「現実ではそんなことありえないよ」って思うからこそ、なおさら残りの半分で「でもそうだったらすごく素敵かも」って、誰しも白馬の王子様や赤い糸をさがし求めている人っているんじゃないかな。
『小指の約束』の逸話とか、女の子がとっても好きそうな類だし。


この人と運命の糸で結ばれているのならば、今別れることになったとしてもいつかまた必ず会えるはず』
っていう終わり方は、すごくロマンチックだし、すごく未来が希望に満ちている。現実的ではないかもしれないけど、観る人の心をくすぐることは確かだと思う。

あと、風習として

韓国にも49日という概念があったこと
が驚き。こんなところで歴史というか文化の伝来を感じました。日本ではだいぶ薄れている感覚かもしれないけど。

まぁ冷静に考えて、

後半のファンタジーすぎるアレなアレはもっとマスキングして薄味にした方が良かったと思う。もろ幽霊出てきちゃうし。空がピカーッて光って「もう行かなければ…」って天国へ旅立っちゃうし。かなりこの違和感は受け入れがたい。
ここだけが私の中でのマイナスポイントだなー。

ってもう、ネタバレすぎちゃって、これから観ようとしてる人は読んでてつまんないですよね。すいません本当。早くみんな観てください。すごい勢いで観に行ってください。そして観てから思う存分反転してー!


最後に『猟奇的な彼女』のキョヌが特別出演していて、あの最初の出会いのシーンを彷彿とさせるおまけカットは小細工が効いててにんまりしちゃいました。こういう繋がり方は憎いね(実際は全く設定が違うけど)。

どんな映画でも賛否両論はあると思うのですが、私には恋に恋する乙女だった時代もあったので、純粋に恋愛モノという意味で楽しむことができました。素敵な映画だと思います。