イン・ザ・プール/奥田英朗/★★★☆☆

イン・ザ・プールISBN:416320900X
ニルヴァーナの『Nevermind』に酷似した装丁にひかれてつい手にとって読んでしまったという、タチの悪いジャケ読み。

「参考資料」NevermindNevermind/Nirvana


第一印象は、軽い。とにかく軽い。
天然なのか計算なのかわからないが、神経科の伊良部はとにかく突拍子もない方法で患者と接し、いつの間にか患者達は心の病を克服しているという、変人名医っぷりが展開される短編集。私は精神科医がらみの話ならもっとドロドロとしたものが好きだというだけで、これはあくまでも好みの問題になってくる。もちろん神経科の物語だから、患者はそれなりに皆ヤバイものを抱えているんだけれども、それをあえてライトに描くことによって、もしかしたら、現代社会で人がこころに抱えているディープな問題が逆に浮き彫りにされるという著者の計算があるのかもしれない!本当のところはどうかわかりません。
とはいえ、いつか『サイコドクター』のようにテレビドラマ化を!みたいな、公共の電波への進出を延長線上においた、下世話な狙いみたいなものが見え隠れしちゃうのは、どうしてでしょう。どうしても最後まで抜けなかった。でも実際これがドラマ化されたら興味あるな。たぶん毎週見ちゃうかもしれない。楽しみにしちゃってビデオとか録画しちゃうかもしれない。もしかしたらだけど。

まぁ、読みやすいんじゃないでしょうか。売れているみたいだし。インパクトも強い。著者は次作の『空中ブランコ』で直木賞とってるし。
個人的な感想は、特別良くもないけど、悪くもない。というところかな。まぁ『空中ブランコ』もたぶん読みます。