たそがれ清兵衛/★★★★★

たそがれ清兵衛
ISBN:B000083YBU
若き日の真田広之を愛してやまなかった私ですが、『たどんとちくわ』あたりから真田広之の世間的な起用の仕方についてしばらく疑問を感じていた私ですが。
この映画はすばらしい。ネタバレ含む。



とにかく、すごくズルイ部分(や設定)がたくさん取り入れられていて、それが絶妙にうまく作用している。あの超かわいい5歳のいとがばーさんになってストーリーテリングをしているところにまずやられた。古い日本の良い部分とそうでない部分、純朴な娘たちと男やもめの父清兵衛との家族愛、貧乏でも辛くても、人間としての幸せを求める心清き設定。実は小太刀の師範代の腕前を持ちながらひたすらにそれを隠してきたという謎秘め感。魅かれあっているのに成就できないという、見ていて何とかしてあげたくなっちゃう、あの時代ならではのともえとのすれ違い、そして恋の行方。
葛藤の素材がふんだんに盛り込まれていて、かつその表現が素晴らしかったので、本当に見ていて1秒たりとも退屈に思えるところがない。すべてに自分を重ね合わせて感情移入してしまった。
しかも私の父性への強いコンプレックスのせいで、余計に清兵衛に理想の父親像を抱いたというのも大きいと思う。その上、女としての視点からみた清兵衛がやたらと私のココロをくすぐったのですよ。
あんな風に朴訥に愛を告白されたいよ!あの真田広之の演技は濡れるよ!そりゃあ宮沢りえも心奪われるだろうよ!
ああ、やっぱり私は真田広之を愛してる。