City Of God

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ブラジルのスラム。子供たちが当たり前に犯罪をおかし、ドラッグを売りさばき、強盗とレイプを繰り返し、つまらない理由で、あるいは理由なく人を殺し、死体がいつもどこかに転がっている日常。
「ハッパもやるしコカインもやった。銃で人も殺した。だから僕は大人だ」
それが神の街で一人前になるための経験値。彼らが生きるためには、殺すか、見たことを見なかったことにするほかに道はない。誰も人を殺してはいけないと教える者はいない。そんな大人は寿命を縮めるだけなのだ。警察ですらも彼らの権力のもとに買収される。銃を手にした子供たちが年齢を重ね、大人になりきれないまま暴力によって得た権力を振りかざす、傍若無人なギャングの抗争。そこには何の信念もない。あるのはただ事実だけだ。
結局ブスカペも、生きるために見たことを見なかったことにする。だって彼はそうするしかないのだ。
ジャーナリズムとは一体何だ。生きるって何だ。