南国プールの熱い砂/青山円形劇場/★★★★★

http://www.nelke.co.jp/stage/pool.html

id:kotokoが絶賛していたので、観に行ってきた。そういえばストレートの芝居を観ること自体久しぶりで、しかも小劇場系なんて本当いつぶりだろう。学生時代に音響スタッフで手伝った劇団「カムカムミニキーナ」から、吉田さんがキャストで出ていた。なんかいろいろと感慨深い。あれから10年以上経っているのだから彼が歳をとっているのも当然なのだけど、10年経ってもまだ役者を続けていられるってやっぱりすごいなあと思う。あと渋谷琴乃はセブンイレブンのCM以来。当たり前だけどすっかり大人でした。

舞台は南の島のホテル。小学校時代の同級生たちがあるきっかけで集合し、15年前にそのホテルで起きた事件を振り返る。2005年にKAKUTAという劇団が上演したものを、キャストをいろんな所から集めての再演らしい。

で、これがものすごくよかった。コミカルで、なんだか懐かしくて、とてもほろ苦かった。まるで自分もクラスメイトであったかのような錯覚に陥る。自分が小学生だった頃も子供ながらにちゃんと恋はしたし、大人になった今こうして同じように集まったら、こんな気持ちになるのかー、みたいな。同行した男の子たちも「きゅんときた」と言っていたけど、どのあたりでどうキたのか、もっと詳しく聞くべきだったなあ。

さすがとしか言いようがないのだけど、円形劇場の使い方も素晴らしく、何よりも台本がいい。演出がいい。舞台上でいくつかのエピソードが同時進行していくときの台詞の混ざり方みたいなのもよかった。ただひとつ難点を言うならば、プール脇では男同士のケンカ、バルコニーで女同士のカミングアウトが同時進行していたのだけど、あまりに目の前のケンカがリアルすぎてハラハラして、バルコニーの会話が何一つ頭に入ってこなかったこと。とても大切なことを話しているのに、その内容が薄まってしまった。あるいは、内容が重たすぎるからあえてそうやって薄めたのかな? だとしたら演出の狙い通りだったろうし、もしかしたら私の座っていた位置がそう見えてしまう場所だったのかもしれない。
座る位置によって舞台の見え方が全然違うというのは円形劇場のメリットであり同時にデメリットでもあるけれど、例えばラストシーンでもうすぐパパになる彼と、子供を堕ろしたばかりの彼女がカメラのファインダー越しに話すシーン。正面から見たら二人のバランスは等しく見えるだろうけれど、私は彼女側にいたので彼女にシンクロしていたし、彼の側から見たらまた違っていたと思う。そういう意味ではケンカ&カミングアウトのシーンでも正面から見たらもう少しバランス良く見えたのかもしれない。だから、もう一度、いや、あと2〜3回は観てもよかったなあ。たぶん、いろんな見え方を楽しめた。

まあそんなことはさておき、やっぱり芝居はいいですね。しばらく離れていて忘れていたけれど、役者がすぐそこで演技をしているこの臨場感と非日常感はもう、たまんないよね。久々に感情移入して我を忘れたもん。