化粧師/★★★★★

やっぱりヘアとメイクは男性にやってもらうのが断然いい。お金を払って男性に綺麗にしてもらうのって、物理的にも心理的にも気持ちがいいものなのです。あーでもフェイシャルエステは女性がいいな。なんだろうこの差。メイクが舞台裏だとして、エステはその裏側だからか。舞台の裏の裏まではさすがに見られたくない感? ベッドの中で男性に裸は見せるけど、風呂場でムダ毛剃る姿は見せない感?(しるかよ)

さて、小三馬(椎名桔平)がまたかっこよくて、おしゃれで、とにかくエロい。ヘアとメイクをするだけで他に何をするわけでもないのに、エロい。山の中で摘んできた何かをぐつぐつ煮て半裸で撹拌する姿はちょっとやりすぎだと思うけど、まあ、エロい。そしてそのエロい彼の指によって、女たちは美しく化ける。「小三馬に化粧をしてもらうと何かいいことがあるのよ、ウフフ。」マダムたちはそう言う。その、きれいになった自分に対する自信というか、おまじないというか、そういう感覚はわからなくもないけれど、みつおの家庭内の様子がみるみるうちに快方へ…という展開はちょっとやりすぎじゃないかい。ベタすぎて痛いよね。わ、笑うとこ?って思っちゃったもん。なんか、「それはやりすぎ」っていうエピソードがいくつかあった。朝ごはん作るところとか。
あと、菅野美穂の役どころ(名前がわからん)が報われなさすぎて痛々しい。哀しいかな化粧師の弟子たり得るのはみつおであって、目をかけてあげちゃうのはお時。つまり小三馬にとって彼女は階上階下の関係でしかなく、特別な感情は持っていない。本人も叶わない恋だとわかっているから余計切ない。小三馬としても、その好意に応えられないのは仕方がないことなんだけど。でも私は、勉強が面白くて仕方がない、字の読めない子どもたちに本を読んであげたい、という理由で仕事をおろそかにするお時(池脇千鶴)にイラッとくるものが芽生えてしまい、どうしても好きになれなかったので、彼女の生い立ちや才能などをすんなり受け入れられませんでした。だからラストも微妙。奥様はとても素敵な方だけど。せめて睡眠を削って勉強して、仕事は仕事でちゃんとやって、少し居眠りしちゃう程度の方が好感が持てるんじゃないかなあ。

とはいえ、それらを差し引いても本当に素晴らしい作品です。原作が石ノ森章太郎ってのはまったく知らなかったのだけれども。あと、意外と俳優人が豪華。あき竹城は怖い。